ゆうとのこと(小学校チャレンジ!篇)

難聴児の息子が地域の小学校に入学しました!親の視点からさまざまな気付きを綴ります。

「やさしさ」を受け取るということ

やさしさをどのように示すべきか、受け取るべきか。これを知っている人こそが、かけがえのない友人である。(ソポクレス)

 

こんな名言が頭に浮かぶような出来事がありました。

 

友だちの気付き

夏休みが終わり、学校が始まると初日からいきなり授業がはじまります。子どもたちも休みぼけの頭を学校モードに切り替えるのには少し時間がかかるようです。というのも、普段よりだいぶ教室がざわついていて、息子には「聞こえにくい」環境になっているらしい、という話を聞いたからです。

 

息子の隣の席のHちゃん。Hちゃんは悩んでいました。

(どうしよう・・・ゆうとくん、ぜんぜん先生の指示と違うことをしている)

予感は的中し、息子は先生に怒られてしまったようです。

(でもふざけていたわけじゃないんだよ。たぶん聞こえていなかったから)

Hちゃんは先生にそのことを言おうか迷いましたが、恥ずかしくて言えませんでした。

(ゆうとくん、大丈夫かな?聞こえているかな?)

それからHちゃんは、ゆうとが気になってしかたがありません。

家に帰ったHちゃんは、ママにそのことを伝えました。

ママはゆうとくんが困っているときや気付いていないとき、どうしてあげたらいいと思う?とHちゃんに聞きました。

Hちゃんは「教えてあげる」と答えました。

 

翌日、Hちゃんの家に同じクラスの友だちが二人遊びに来ていました。話題は息子のことでした。

「ゆうとくん、最近聞こえにくそうだよね」

「教室がうるさいからだよね」

「わざと間違えたんじゃないのに、先生に怒られるのはかわいそうだよね」

三人はママに相談することにしました。

Hちゃんのママはすぐに二人のママ達と連絡を取り合い、この件について真剣に話し合ってくれました。

 

そして、その日の午後、何も知らないのんきな私の携帯にLINEが来ました。

「今から遊びに行ってもいい?」

仲良しのママ友から。急に来るときは何かあるとき。

何かあったのかな?と思いつつ「いいよ」と返信。

そして彼女からこれまでのいきさつをいろいろ初めて聞きました。

 

「Hちゃんとうちの子とYちゃんの三人が、これからゆうとくんのサポートをすることにしたよ。ママ達もゆうとくん応援団になって、これから学校の様子とかいろいろ伝えるから、何かできることがあったらどんどん言ってね」

 

「男の子は学校のようすを話さないでしょ?女の子は細かいところまで話してくれるから、ゆうとくん情報はうちらに任せて」

 

「ゆうとくんは、どんなシーンで一番困るのかな?子どもたちに教えてあげて」

 

 「やさしさ」を受け取るということ

これまでもたくさん支えられて助けてもらってきましたが、こんなに人の熱い気持ちが伝わってきたのは初めてで、驚きと共に嬉しさでちょっと泣きそうになりました。

話を側で聞いていた息子に「ゆうとはどうしてもらいたい?」と聞くと、「助けてもらいたい」と言いました。

そうか・・・ゆうとは学校ですごく苦労しているんだなぁ、と、実感しました。

「助けなんていらないよ」と言うかもしれないと思っていましたが、自分でも困っていることを自覚できる何かきっかけがあったのかもしれません。

「聞こえる」という自信が、真実を見えなくするフィルターになることもありますが、その自信を一度崩して、身の丈にあった高さに再生できたとき、息子は無敵になれるような気がします。

 

息子の困ったに気付いてくれている友だちがいることにも感謝です。

他人のことなんかどうでもいい、という世の中の流れに逆らって、我が子のことのように息子を案じてくれている人がいることに感謝です。

私は彼女たちに何をしてあげられるのかな?

ついそんなことを考えてしまいますが、相手は私に何かしてもらおうなどという見返りは求めていないはずなのです。

お返しするあてもないのに、やさしさに甘えてしまうことに申し訳なさもありますが、善意は素直に受けとり、感謝をすればいいのかなと思います。

困っていたら正直に「助けて」と言えば、すぐに飛んできて助けてくれる友がいるって幸せなことです。

 

やさしさを受け取ること、簡単なようで簡単ではありません。遠慮してかえって相手をがっかりさせてしまうこともあるでしょう。でも、ひとりでできることには限界がつきもの。ひとりで何でもやろうと思わないで、人に助けてもらえばいいんだと思います。

いつか自分ができる方法で、人からもらったやさしさを、また必要としている誰かに届けられたらいいんじゃないでしょうか。

 

「君を信じてくれる友がいれば、君は何にもでもなれる」

 

私にも学生時代からの”親友”が一人います。近くに住んでいるわけでもなく、お互い忙しくてなかなか会えませんが、ずっと心で繋がっています。彼女がこの世にいるかぎり、私は孤独ではないと感じます。彼女の「大丈夫」は私にとって魔法の言葉です。息子にもそんな一生付き合える友だちが一人見つかるといいなぁ、と思います。

 これだけは理解して欲しい

人工内耳をしていると、「普通の子ども」になったと勘違いする人もいます。

息子は人工内耳を装用して、やっと「難聴」になりました。

難聴の息子が、普通学級でやっていくのは想像以上に大変でした。

そのことをもっと周りの人に知ってもらえるように、そして学校の特別支援体制についても改革の必要性を訴えていく努力を続けていかないといけないなと思います。

そして心優しい人たちに出会えたことに、心から感謝しています。