人工内耳はすごい。でも魔法の道具ではないのだ。残念ながら・・・

人工内耳をしている難聴の子どもは、どんなことに困るのだろうか?子育てしながら気になることを書いています。

息子は難聴

壮絶な難産の末に生まれたぱる。

誕生して4日目に新スク(※1)で引っかかったことを医師から告げられて、一時は奈落の底に突き落とされましたが、あれから早5年。なんとか這い上がってきました・・・といっても別にゴールした気分ではなく、やっと現実に慣れて(親にも障害受容に至るまで長いプロセスがあるのです)、気持ちが整理できるようになったという程度です。

息子は両耳スケールアウトの重度難聴だったので生後5ヶ月から補聴器をつけていましたが音への反応が鈍く、当然言葉なんかでるはずもなく。

適応基準(当時1歳6ヶ月)がくるまでは本当に悶々とした日々でしたが、ついに適応基準年齢に達して人工内耳の手術に踏み切ったのです。
ただ、多くの難聴児の親がそうであるように、私たち夫婦も簡単に人工内耳を選んだわけではありません。非常に悩みました。

ぱるをどのように育てるかについてです。

ろう者として手話を第一言語で生きていくか、聴こえることに出来得る限りチャレンジして口話で生きていくか。
そこにはぱるの二つの人生が見えました。ぱるにとってはアイデンティティの分かれ道だったと思います。

本人ではなく親が決めるのです。本人が選べる精神年齢がくるまで待っていたらすでに選択肢はなかったのです。
一人の人間の人生の、これほど重要な決定を自分たちがするという責任感に押しつぶされそうになりながら、悩み悩み悩んだ末に、私たちはぱるを口話で育てることに決めました。
それは、私たち夫婦は健聴者で、愛する息子を自分たちの住む世界で育てたかった。身勝手な決断でもあったのかもしれません。

5年経った今でも、よく話すようになった今でも、この選択が正しかったのかそうでなかったのか、よく考えます。

(※1)新生児聴覚スクリーニング検査・・・新生児の聴力検査のこと